2022.01.24 プレスリリース
paiza「40歳以上のITエンジニアの転職動向調査」を発表。40歳以上の需要が右肩上がりで上昇
(※)paiza転職の登録者は、ITエンジニアとしての就業経験のある約25万名
ITエンジニアは、「35歳定年説」が久しく語られてきました。その要因には、「体力問題(長時間残業や徹夜業務の存在)」や「キャリアパス(管理職以外のパスがない)」などがよく挙げられています。そこでpaizaでは、こうした説を踏まえ、実際に「paiza転職」に登録する40歳以上のITエンジニアの転職動向について調査しました。
「paiza転職」がスタートした2013年から2021年まで、年ごとに「paiza転職」を利用して企業に応募した人全体に占める40歳以上エンジニアの割合を出したものが上の図です。サービスローンチ当初の8年前と比べて40歳以上の応募者の割合は2倍程度に増えています。
「paiza転職」を利用して企業に応募し、採用された人全体に占める40歳以上エンジニアの割合を表したのが上の図です。2013年は応募者はいたものの採用者はゼロでした。しかし、その割合は右肩上がりを続け2021年には16.4%まで増加しています。
次に各年代別の年収構成比をみてみます。2019年から2021年までの3年間に「paiza転職」を通して採用された40代以上のエンジニアのうち、16.7%の年収が700万円以上となっており、20代(1.5%)、30代(10%)よりも評価されていることがわかります。
具体的に転職の際どのような経験が評価されているのでしょうか。2019年から2021年までの3年間に「paiza転職」で採用された人材を20代、30代、40代以上に分け、転職前にどのような経験を積んでいたのか、経験項目の保有者の割合をまとめたのが上記の表です。
年代を問わず「paiza転職」で転職したエンジニアは、Web開発などモダンなシステム開発経験や技術スキルが評価され採用される方が大多数ですが、40代以上の特徴としては、A.I.、機械学習、画像解析など将来的な商業化に向けての基礎研究を行う「研究開発」(21.4%)やプロジェクトマネジメント(57.1%)、マネジメント(51.8%)経験者が30代と比べて2倍以上の割合となっており目立っています。後述する転職事例をみてみると、ここでマネジメント経験が評価されているのは、技術力+エンジニアのマネジメント力を持つプレイングマネジャーとしての評価となっているようです。
次に「マネジメント経験」の年収への影響をみてみます。2019年から2021年までの3年間に「paiza転職」を通して採用された40歳以上のITエンジニアのうち、マネジメント経験が3年以上ある人は、マネジメント経験が3年未満の人と比べて年収700万円以上の割合が1.6倍高いことが分かっています。
■40歳以上エンジニアの実際のキャリア例(「paiza転職」での採用オファー獲得事例)
・CTO候補 年収約900万円 49歳
製造業の営業から20代でエンジニアに転職、ERPパッケージベンダーのエンジニア、エンジニアリーダーを経てWebサービスのベンチャーでPM兼エンジニアを担当。インフラ系事業を展開するベンチャーにてCTO候補として採用オファー獲得。
・プロジェクトマネジャー 年収約900万円 49歳
システム会社で制御系エンジニアを経験した後に起業。社員5名と金融システム開発を手がける。その後、B2Bシステムプラットフォーム事業を手がけるベンチャーへエンジニア兼プロジェクトマネジャーとして採用オファー獲得。
・テックリード 年収約800万円 47歳
国立大学院の情報工学修了後、インターネットインフラを展開する企業でエンジニアやエンジニアリーダーとしてネットワーク管理システムや金融系システムの開発に従事。その後、専門メディアを展開する企業でテックリードを担い、DX領域のベンチャーから採用オファー獲得。
・シニアエンジニア 年収約750万円 42歳
SIerでチームリーダーとして自社の勤怠管理パッケージ を中心に在庫管理・購買管理などのSIプロジェクトの全ての工程に関わる。その後、ツールベンダーの導入コンサルタントとして、CI/CDなどのツールや技術の導入支援、及び技術トレンドの調査と評価を発信する業務を担当。大手ソフト開発企業から採用オファー獲得。
■解説:40歳以上ITエンジニアのニーズ増の背景、求められる人材像とは
(paiza株式会社 取締役 升水啓太)
・40歳以上のITエンジニアのニーズが増加している背景
ITエンジニアの「35歳定年説」は以前から語られていますが、「paiza転職」の登録者の動向を調査するとイメージとは異なることが分かりました。上記データにもある通り、最近は管理職ではなくプレイヤーやプレイングマネジャーとして40歳以上のITエンジニアを採用したいと考える企業が増加しています。背景には、高い技術力を持つエンジニアの不足が挙げられます。昨今、インターネット企業やDXを推進している各種事業会社ではエンジニア組織の内製化を進めており、従来の中途採用ターゲットであった20代、30代だけでは足りず、能力の高い40歳以上を採用する動きが加速しています。
・実際に転職に成功しているのはどんな人材なのか?
①「技術力×マネジメント力」があるプレイングマネジャー
実際に転職を成功させている方は、30代同様にWeb開発やクラウドインフラの設計構築など、モダンな技術での開発を経験している方が多いです。ただし、30代の転職者と比較して、技術スキルや開発経験以外に、採用やチームビルディング、目標設定評価の取り組みで成果を出すなど、エンジニアチームやプロジェクトのマネジメント経験がある人が高い評価を得る傾向にあります。これらの経験をもとに1,000万を超えるオファーを手にしている方も多数います。
② 40歳以上を求めるのは成長ベンチャー
30代の転職先は、インターネット企業(43%)、SIer(40%)、ゲーム・事業会社(17%)と多様ですが、40歳以上の転職先はインターネット企業(64%)がダントツとなっています。また、企業規模も平均従業員数が約120人と比較的小規模な企業への転職が目立つなど、ベンチャー企業での採用ニーズが高いことが分かっています。これはプロダクトと組織を育てていくフェーズにあるベンチャー企業が、技術力×マネジメント力を求めて40歳以上まで幅を広げて人材を探しているためと考えられます。
従来は40歳以上の方のキャリアパスとして「管理職」が一般的でしたが、「エンジニア」としてキャリアを積みたい方にとって、人材管理中心の業務となる管理職は必ずしも魅力的ではありませんでした。しかし現在では、技術力と開発実務経験をベースにしたキャリアアップの機会が増えていると言えそうです。今若手の方は、将来に向けて差別化を図る意味で、チームリーダーやマネジメント経験を自身のキャリアに取り入れていくと未来の選択肢が増えると考えられます。
参考:
エンジニアの方向け「paiza転職」URL: https://paiza.jp/career
採用ご担当者の方向け「エンジニア即戦力採用」URL: https://paiza.jp/pages/recruiters/career/service